性のあり方は気にしたことがない。自分は自分だから|フィットネストレーナー・Naru

性のあり方は気にしたことがない。自分は自分だから|フィットネストレーナー・Naru

WAGAMAMAに生きる人たちの声をきくOPTのWAGAMAMAインタビュー。第一回は、フィットネストレーナーのNaruさんにお話をお聞きした。元々は、OPTのファウンダーの下山田が、大学生の頃に「共通の知り合いがいる」「筋肉がカッコいい人」という理由でインスタをフォロー。今から約6年ほど前の話になるが、そこから何かやりとりがあるわけではなく、ひたすらNaruさんの筋肉の成長を追いかけていた。

Naruさんの筋肉の成長を追いかけながら感じていたのは、生まれながらに割り当てられた性別が女性であることと自身の性自認が男性であること、つまりは社会の中で”マイノリティ”とされるラベルを持っていることを気にもかけていない雰囲気と、自分が思う”カッコいい”を追求し続けるかっこよさ。

今回、OPTのメインメッセージである「WAGAMAMAであれ」を体現する人たちに話を聞く機会を設けるに当たって、ぜひNaruさんに話を聞いてみたい。そう思い、このインタビューが実現した。

 

Naru
1996年生まれ、東京出身。 大学4年間ジムのトレーナーとして、エクササイズ指導を行う。 スポーツ大学卒業後、一般会社員の営業として勤務。 その後、2022年の12月にAYAさんプロデュースの「Feelin’Good」のジムのトレーナーとして務めている。現在はパーソナルトレーナーとして初心者の方やLGBTQの方々へトレーニング指導・ボディメイクを行っている。
Instagram:naru5fitness

 

ー早速ですが、自己紹介をお願いします。
Naru:杉田なるみって言います。

ー急なフルネーム(笑)杉田なるみさん。なんて呼ばれてますか?
Naru:なるって呼ばれてます。あと、杉ちゃんとか。ワイルドだろぅって感じで(笑)

ー(笑)お仕事は何をされていますか?

Naru:フィットネストレーナーのAYAさんのフィーリンググッドというジムで、コーチ兼パーソナルトレーナーをやっています。

大学では4年間、ジムでトレーナーとしてアルバイトしていました。大学の時は留学をしていて秋に卒業して、半年はフリーでトレーナーをしていて。足並揃えて4月に入社したって感じです。 そこから去年まで営業をやっていました。

そもそも話を戻すと、営業やった理由も、スタートアップの人材紹介会社に入った理由も、将来的にジムを設立したい想いがあったんです。それこそLGBTQの人や性別に関係なくこれるジムをつくりたいと思っていて。お金を稼いだり、勉強できるかなって思って入ったんですけど、やっぱり合わずで。たまたまAYAさんのフィーリンググッドの募集が2022年の8月に始まって、応募して、12月12日にグランドオープンして、そこでフリーランスとしてコーチ兼パーソナルトレーナーみたいな感じでやってます。

ーめちゃくちゃフィットネス大好きなんですね

Naru:めちゃくちゃフィットネス大好きですね。スポーツ好き。

ー キャリアの考え方も、ずっとフィットネスが大好きというところが一本通っている感じがあって、めちゃくちゃ素敵ですね。

 

性のあり方は気にしたことがない、自分は自分だから。 

 

ーNaruさんは、自分自身の性のあり方を誰かに説明する時、どのような言葉を使いますか?

Naru:え、難しいな。自分は自分みたいな感じがすごい強いから。友達と喋ってても、言葉に当てはめなくても理解があったことが多いんで、説明の仕方が分かんないかも。

女として性別を割り当てられているっていうのも分かってるし、そこに対して抵抗がある訳ではない。見た目的に「男ってまあ分かるよね」みたいな雰囲気を出すし、自らもそういう言葉を発します。
男だよって言うんじゃなくて、 俺は女の子が好きだし、トイレも男性用だし、気持ちは男性の気持ちでいる。だれに何を聞かれたとしても俺は変わんないし、みんなに知ってもらいたいっていうのもないから。そういうフランクな感じになっちゃう。

ー自分の性のあり方について向き合うきっかけや、何かターニングポイントがあったんですか?

Naru:性のあり方に関しては、小さい頃からずっと向き合えていないなと思ってて。自分の性のあり方に対して、性別を遮って、俺は俺みたいなのがあって。性別について自分がどうなんだろうって、考えたことがなくて。

でも、性のあり方に初めて「ん?」ってなったのは、小4の時ですね。当時、保健の女性の先生がめっちゃ好きだったんですよ。めっちゃ綺麗で、すごい魅力に感じて、化粧もしてるし髪も長いし、その時すごいドキドキしちゃって。そこから、自分の好意が女の子にあるっていうところで、ようやく気づいたみたいな感じでしたね。

ーなるさんは、性的指向に関しては女性が好きだという明確な対象がありますが、逆に性自認に関しては、すごく広い余白を感じました。その性のあり方でいいと思えるのは周りに肯定してくれる存在がいたのではと思ったのですが、その辺りはどうですか?

Naru:心の支えは、彼女かな。中1から、一昨年ぐらいまでずっといたんですよ。その人たちは別に俺のこと女とも男ともみてなくて、Naruって存在で、すごくプッシュしてくれて、支えになってくれて。

99人が嫌でも、1人が俺のこと好きだったら全然それって認められてるし、いいじゃんって思って、それが中学1年生からあったんで多分そこかな。親の言葉とか周りの言葉ももちろんありましたけど、好きでいてくれる、恋愛感情になってくれるっていうのは自分の中ですごく嬉しくて。いいなと思ってから実際に女の子と付き合える、理解をしてくれるっていうところが、自分の中で支えになってて。あ、いけるんだみたいな。そのおかげで、自分がうまく形成されてたのかなって思います。そこからかな、調子乗っちゃったの(笑)

ー最高な調子の乗り方ですね(笑)

ー少し前の質問で「向き合えてない」という言葉を使われていましたが、Naruさんにそう話させてしまっていることを反省していて。自分のことをセクシュアルマイノリティ当事者ではないと認識している人たちって、性のあり方に向き合う機会が少ない人たちだと思っているんです。だからNaruさんが言っていた性のあり方に向き合っていない状態って、一番目指すところだなと私は思うんです。でも、私の質問の仕方って、セクシュアルマイノリティ当事者の人たちは性のあり方に向き合っている、向き合わなきゃいけないみたいな前提のもとに質問してたなと思って、すごい反省しています。

Naru:確かになって思いました。
「向き合えていない」「逃げてる」っていう言葉は使ってますけど、でも本当に逃げてるのかなと思うと「別に気にしてないから」っていう言葉も当てはまる。

ー当事者かそうじゃないかに限らず、自分は自分だと思ってる人ってかっこいいじゃないですか。だから、中学一年生から途切れずに彼女がいるんだなって、すごい納得できました。

ーホルモン注射を始めた経緯も、もしよければお聞きしてもよろしいですか?

ホルモン注射は大学2-3年くらいからかな。生理が一番嫌だったんですよ、急に身体が女の子になってきたみたいな感覚がすごい嫌だったんで。生理を機に、ホルモン注射をしようと思いました。

OPTの吸収型ボクサーパンツ、めちゃくちゃいいですよね。当時の自分に履かせてあげたい。ナプキンをつけなくてパンツだけでも履けるんだったら、最強すぎる。同じように、生理で悩んでいるトランス男性の友達にも教えてあげたいです。

オープンでフラット。
WAGAMAMAにその人をその人として受け入れる

ーNaruさんにとって、自分がWAGAMAMAだなと思う状態ってどんな状態ですか?

Naru:周りを気にしないみたいな感じかな。自分は自分。とにかく周りを意識すればするほど、自分ってなんなんだろうって思っちゃうんで、周りのこと、社会情勢なところとかもそうなんですけど、そういうのにとらわれない。周りのことを気にしない。ってだけだと思いますね。逆にどう思いますか?

ー私は、好きを好きって言える状態が、WAGAMAMAな状態なんですよ。誰にも邪魔されていない状況。心で湧き上がってきたものが、ちゃんと口に出せてる時の自分がWAGAMAMAだなって。でも逆を返せば、それは多分これまでの人生で、嫌が言えない時があったりとか、これを選びたいって言えないことがあったから今そう思っているんだと思っています。多分、私はNaruさんのような「周りは気にしない」って言葉をピュアに出せないと思うんです。だから、羨ましいなって思う。

ー私は、自分自身も素でいることみたいなところかなって、Naruさんのお話聞きながら思いました。でもまだまだ考え続けたいテーマだなって思っています。

ー自分が一番WAGAMAMAでいれるなって思える関係性ってどんな関係性ですか?

Naru:特別に扱われてない感じの時かな。僕にだけ特別感を出してこない人。自分でも、両親でも、動物とかにもそうだし、誰と喋っても同じような感じで喋ってくれる、フラットな感じの人たちがいてくれることが自分にとってはWAGAMAMAでいれる関係性かなって思います。

ー逆にNaruさんが心地悪いなって思う人と一緒にいることってありますか?

Naru:一緒にいないですね、そういう人とは。でも、これまではいましたよ。自分がどんな性のあり方なのかわかっているはずなのに、いつもネタを言ってくるとか、いつも性のあり方の話で盛り上がるっていうのがくだらなすぎちゃって。自分はそこで「やめろ」って強めにバシッと言っちゃいます。別に女であろうが男であろうが、誰にでも、フラットな感じで言っちゃいますね。

ーそれは格好いいなあ。Naruさんが怒ることで助かってる人絶対いると思うんです。これダメなんだってそこで気がつくみたいな。

ラベルの持つ意味合いはもっとポジティブでいいはず。

ー最近、Naruさんのインスタのプロフィールを見て、LGBTQって言葉をつけたんだって思ったんですが、いつからどんな意図でつけたんですか?

Naru:元々、セクシュアルマイノリティ当事者であることもあんまり言いたくなかったことなんです。でも、去年の4月くらいからフリーでパーソナルトレーナを始めて、セクシュアルマイノリティ当事者・トランス男性でトレーナーをしてるってなると、お客さんもこのトレーナーってどういう人なんだろうって知りたがるっていうことがあって。近年、LGBTQという言葉が世に浸透してきたということもあり、世間の理解も昔よりは高まってきているというところで、「LGBTQ・トランス男性・筋トレ」はお客さんへのアピールになるなと思うからこそ、自分をもっと外に出していこうと思ってつけました。

 

ーセクシュアルマイノリティ当事者であることを表に出すことへの捉え方が、なるさんの中で変化したんですかね。海外留学もされていたということでしたが、海外に行ったことで、セクシュアルマイノリティ当事者であると語ることに対して何か自分の気持ちに変化はありましたか?

Naru:アメリカに留学していたんですが、アメリカって自分が当事者だと語ることがポジティブな意味になるんですよね。プラスな意味として、自分の性のあり方を全面に出してやってるなと思って。自分も、お客さんを捕まえるとか自分をアピールっていうのもありつつ、世界は広いし、いろんな人に知ってもらえたらなと。

元々、海外のLGBTQに対する捉え方と自分の気持ちが似てるところもあったので、オープンに当事者であることをかけたことはあるかもしれません。

ーなるほどな。確かに日本だとマイノリティや、辛い経験をした人というような意味合いになっちゃうことが多いけど、海外だと、良い悪いではなく、素敵な属性だねみたいな感じで捉えられることが多いし、掲げることの意味合いが変わってくるかなって思います。ラベルの定義を今変えている、自分の中で変わったみたいな感じなのかなってお話を聞きしながら思いました。

Naru:そうですね、まさにそうだと思います。
発信や仕事をすることで、LGBTQ当事者というラベルがつくことの意味合いを日本の中でも変えていける感じなのかなって。

ーOPTでやっていきたいことって、日本におけるLGBTQのラベルの意味合いをもっとポジティブなものに変えていきたい、っていうところがやりたいところなので、通ずるものがあるなと思いました。

ー憧れのフィットネストレーナーという職業に就いて、どんなフィットネストレーナーになりたいかなど、目標などはありますか?

Naru:フィットネスを誰でも楽しめるように、それこそ性別問わずいろんな人がフィットネスや運動することによってQOLの向上だったり、生活が豊かになるようにサポートできればなと思っていますね。そのためにも自分の知識もですし、自分の体を通しても、体現できるように、誰から見てもかっこいい憧れの存在には絶対なっていきたいなっていうのはあります。だから自分をすごく強く出して、Naruさんだったらついてきていきたいねとか、Naruさんがいるからフィットネス楽しいねみたいなそういう風なフィットネスにしていきたいですね。

ー体現者ですね。フィットネスって嘘をつかないじゃないですか。Naruさんの言葉からもそれが現れていて、すごく説得力があるし、憧れる人たくさんいると思います。


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Naruさんから紡がれる素直で自然な言葉には、きいているこちらまで心が緩んで、そのままの状態でいたいと思わせてくれる軽やかさがありました。属性やラベルでジャッジせず、自分のことも含め、その人そのものとして受け止めること。WAGAMAMAの意味や姿は人の数だけあると思いますが、Naruさんのような、そのままの姿で受け止めた上で自分なり景色をみていく姿には大きなヒントがあるのではないでしょうか。

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Interviewer:Shiho Shimoyamada , Hoanami Uchiyama

Editor:Shiho Shimoyamada , Ruruka Kimura , Kanami Oka

Photographer:Kanae Fukumura

 

OPTは、スポーツがもつパワーと、スポーツを通して得られる誇りとワクワクで、あらゆる性の人たちがWAGAMAMAに生きる世界を目指しています。人とちがう部分をこれが自分だと誇りに感じたり、自分の中に湧き出る感情を誰にも邪魔させないこと。わたしたちは、そんな ”我がまま = WAGAMAMA” に生きる人たちのためのアンダーウェアブランド。


我こそはWAGAMAMAであると、そして、もっとWAGAMAMAに生きていきたいんだとのぞむ人たちへ。わたしたちと一緒に、だれもがWAGAMAMAであれる世界を、つくりませんか。

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