生理×スポーツ×貧血:見逃したくないサインと対策
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はじめに
生理とスポーツの両立は、多くの女性アスリートや学生にとって大切なテーマです。中でも「貧血」は、体調だけでなくパフォーマンスにも影響する可能性があります。
先日公開した元バレーボール選手・栗田楓さんのインタビュー記事でも、「生理とパフォーマンスの関係」に触れ、貧血や体調管理の大切さが語られました。今回は、その背景となる基礎知識や、日常でできる予防・改善の方法を紹介します。
生理と貧血はパフォーマンスに影響する
生理による出血は体内の鉄分を直接減らします。特に経血量が多い場合は、1回の生理で失う鉄が多く、貯蔵鉄(フェリチン)が不足しやすくなります。
さらに、スポーツによる運動性溶血(足裏への衝撃やランニングで赤血球が壊れること)や、発汗による鉄の喪失、炎症による鉄の利用制限が重なると、貧血のリスクは一層高まります。成長期の女子アスリートや運動量の多い学生は特に注意が必要なのです。
特に激しい練習や試合では鉄の需要が増し、酸素を運ぶ赤血球が不足しやすくなります。その結果、息切れや疲労感が普段より強く出ることがあります。
具体的な影響とは?
赤血球の不足により酸素を運ぶ力が落ちると、筋肉や脳の働きも低下します。これにより、持久力や集中力が落ち、普段の練習や試合で本来の力を発揮できなくなります。
①持久力・集中力の低下
これまで普通にこなせていた練習が急につらく感じる、動きが重く感じる、集中力が続かない。
②怪我や体調不良のリスク
集中力の低下はプレー中の判断ミスを招き、怪我の原因になることも。また、身体の回復が遅れることもあります。
注意したいサイン・症状
貧血症状は外からはわかりにくいですが、早めに気づくことで悪化を防げます。当てはまる症状があれば、無理をせずチームメイトや指導者、保護者に相談しましょう。
自覚しやすい症状
・息切れ
・めまい
・立ちくらみ
・倦怠感
見た目や体の変化
・顔色が悪い
・爪が反り返る
・髪が抜けやすくなる
鉄不足を防ぐ食事の工夫
日々の食事での予防が基本です。鉄は体内で作ることができないため、意識的な摂取しましょう。
鉄を多く含む食品
赤身肉、レバー、マグロやカツオ、大豆製品、ほうれん草などが代表的です。
吸収を助ける工夫
ビタミンCを含む食品(柑橘類、パプリカ、ブロッコリーなど)と一緒に摂ると吸収率が上がります。一方、お茶やコーヒーに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるため、食事中や直後は控えましょう。
さいごに
貧血は競技力だけでなく、日常生活や健康全般にも影響します。ただし、生理とスポーツの関係を正しく理解し、食事・休養・医療の力を組み合わせることで、予防と改善につなげられます。自分の体と向き合いながら、長く競技を楽しむための土台を整えていきましょう。
そして貧血に注意するのは、生理中だけではありません。経血が出ていない期間でも、私たちの身体は常に鉄が不足気味なのです。食事やサプリメントで鉄分を補給することによって、日常生活やスポーツ活動中のパフォーマンスが今より上がる可能性があります。
鉄は食事からの吸収量も少なく、意識していないとなかなか十分な量を摂れないことも...。「鉄分+ビタミンC!」と意識して、毎日失われる鉄をこまめに補給しましょう。
記事監修
砂本沙織:OPTメディカルアドバイザー/薬剤師・スポーツファーマシスト
