【開催レポート】現役アスリート三谷和華奈選手とともに学ぶ、生理とコンディションのこと。十文字中学校サッカー部でOWC実施しました

2026年6月16日(火)、東京都豊島区にある十文字中学校にて、サッカー部の皆さんを対象に、OPT wagamama caravan(以下、OWC)を開催しました。
今回は、wagamama共同代表の内山穂南と、現役サッカー選手の三谷和華奈選手が登壇しました。
三谷選手は、現在ラトビアのRIGA FC Womenに所属するプロサッカー選手です。OPTでは、OWCをはじめとするSTUDENT SUPPORTの活動に賛同する「wagamamaアスリート」としても活動しています。
十文字中学校は、OPT代表の内山穂南の母校であり、同じく中高一貫校の十文字高校は三谷選手と下山田志帆の母校でもあります。今回は、十文字中学サッカー部の選手40名、男性指導者1名、保護者3名の皆さまにご参加いただきました。
本レポートでは、OWCアスリートとして参加した三谷選手の声を中心に、OWCを通じて生まれた気づきやパフォーマンスを支える身体との向き合い方をご紹介します。
母校の後輩たちに、自身の経験を届ける

セミナーでは、当日は、「wagamama talk box」を活用し、対話形式のセッションを実施しました。wagamama talk boxは、アスリートの実践知をもとに、生理とパフォーマンスに関する知識や対処法をクイズ形式で学びながら、自分や周囲の経験について対話を生み出すツールです。
三谷選手からは、現役アスリートとして競技を続けるなかで経験してきた、生理やコンディションにまつわる体験をお話いただきました。
特に伝えられたのは、気分が落ち込んだり、思うように頑張れなかったりする日があっても、それを「心が弱いから」「根性がないから」と決めつけないでほしいということです。
生理中や生理前など性ホルモンの変動によって、気分の落ち込みや身体の不調が起こることがあります。自分自身の不調について知ることはもちろん、周囲に気分が落ちている人がいたときに、気にかけられる関係をつくることが大切だと話しました。
痛みや不調を、我慢し続けなくていい

三谷選手は以前、痛み止めに対して、できるだけ飲まないほうがよいという印象を持っていたそうです。
しかし、痛みを抱えたまま我慢するよりも、必要に応じて適切に薬を使用することで、身体が楽になり、競技中のパフォーマンスにもよい影響があると感じるようになったといいます。
また、周囲にはピルを服用している選手もおり、生理痛が競技や日常生活に影響するほどつらい場合には、医療機関で相談したうえで、ピルを含むさまざまな選択肢を知っておいてほしいと伝えました。
「生理だから仕方がない」と諦めるのではなく、自分に合う方法を探していくこと。そのために、誰かに相談したり、医療機関を受診したりすることも、自分の身体を大切にする行動の一つです。
生理が来ないことも、身体からのサイン
三谷選手自身も、過去に生理が約1年間止まったり、来たと思ったら再び止まったりするなど、生理が不規則な時期を経験しました。
生理痛を経験したこともあったため、当時は「生理が来なくて楽だ」と感じ、すぐには産婦人科を受診しなかったといいます。しかし、心配した家族から受診を勧められたことをきっかけに、自分にあった選択を考えられるようになりました。
将来の自分のためにも、不安を抱えたままにしないこと、身体からのサインを我慢したり、見ないふりをしたりせず、早めに専門家へ相談することの大切さを、実体験を通して伝えました。
「諦めるしかないと思っていたけれど、違った」

セミナー後のアンケートでは、参加した選手の皆さんから、さまざまな声が寄せられました。
・生理は人によってさまざまだから、悩みも人それぞれだと分かりました。病院に行ったほうがよいこともあるので、自分の体調の変化やSOSを諦めるのではなく、きちんと寄り添ってあげるとよいと思いました。
・生理が重いことを周りに言いづらく、何も言わないまま、ただ機嫌が悪い人だと思われているのではないかと心配していました。今回のセミナーを通して、とても心が楽になりました。
生理の症状や感じ方は一人ひとり異なります。だからこそ、自分の不調を我慢したり諦めたりせず、必要なときには周囲や専門家に相談すること。そして、周りの人もそれぞれの違いを知り、寄り添うことの大切さを感じる時間となりました。
生理を経験しない人や、症状が軽い人にも

今回のセミナーには、男性指導者や保護者の皆さまにも参加していただき、それぞれから様々なコメントが寄せられました。
保護者からのコメント
・自分も娘も生理がとても軽いため、腹痛やPMSについて、これまであまり分かっていませんでした。知識を得たことで、つらさを抱える人に寄り添える人になりたいと思いました。
・もしかしたらPMSなのかなと思う知人には、「機嫌が悪くなったり、泣いてしまったり、落ち込んだりするのは、あなたのせいではないんだよ」と伝えたいです。
また、娘の生理が半年ほど止まった際に、「生理がなくて楽だね」と話していたという保護者からは、今後同じようなことが起きた場合にはきちんと受診を勧めたい、という振り返りもありました。
山田 岳暁監督からのコメント
「今回のセミナーをチームに実施することは、選手や保護者に必要な学びになると考え、迷いはなかったです。ただ自分自身が参加することには、「男性に聞かれたくないのでは」という勝手な配慮があり、正直遠慮の気持ちが大きかったです。しかし実際に参加してみて、これは男性こそ学ぶ必要があると感じました。
そう感じることができたのは、セミナーの内容だけでなくwagamamaさんの取り組みへの熱意や構成にも理由があります。おそらく一番選手達に刺さったのは、お姉さんアスリートの実体験のお話だと思います。またグループワークはクイズ形式で楽しみながらも、人と考え共有することができテーマである生理とパフォーマンスについて正面から向き合う時間になりました。」
生理を経験する人だけが知識を持つのではなく、生理を経験しない人や症状が軽い人も、正しい知識を身につけること。それが、身近な誰かの変化に気づき、支えられる環境につながります。
三谷選手からのコメント
セミナー後には、三谷選手から今回のOWCを振り返ってコメントをいただきました。
「生理がまだ始まっていない選手も積極的にクイズへ参加し、楽しみながら話を聞いてくれていたことが印象に残っています。今回の活動を通して、選手たちが安心して相談できる環境や、困ったときに頼れる場所があることの大切さを、改めて感じました。また、生理に関する正しい知識を身につけることや、生理について話すことは決して恥ずかしいことではないと知ることも、これからの選手たちにとって必要だと思います。
生理がきたとしても、アスリートは、大事な試合で結果を求められたり、厳しい練習をこなさなければいけません。とくに、ユース年代の選手は、そこに学校生活が加わり、たくさんの外的ストレスもかかっています。
これほど多くの我慢を、「仕方ない」の一言で片付けて良いわけがありません。だからこそ、わたしはそんなアスリートたちに、「ありのまま」でいることの大切さ、「ありのまま」でいられるように寄り添えるような人間になりたいと思います。
わたしの経験が、誰かの役に立つことができる。セミナーに参加してくれた、元気いっぱいな生徒さんたちが、気づかせてくれました!これからもOPTとともに、さまざまな形で活動を広げていきたいです。」
現役アスリートだからこそ伝えられる、競技生活のなかでの迷いや実体験。等身大の言葉で届けられたからこそ、参加した選手たちにとっても、自分自身の身体や心について考える時間になったのではないでしょうか。
さいごに

同じチームで同じ練習をしていても、身体の状態や感じているつらさは同じではありません。だからこそ、まずは自分の変化に気づくこと。そして、困ったときには一人で我慢せず、家族や指導者、チームメイト、医療機関など、周囲に相談することが大切です。
周囲の人が正しい知識を持ち、「気持ちの問題」「我慢が足りない」と決めつけずに寄り添うことも、安心して競技を続けられる環境づくりにつながります。
OWCではこれからも、アスリートやスポーツに関わる皆さんが、自分の身体の声を諦めることなく、一人ひとりに合った選択ができる環境をつくるため、学びと対話の機会を届けていきます。
十文字中学校サッカー部の皆さま、保護者・指導者の皆さま、そして三谷和華奈選手、本当にありがとうございました。
こちらも合わせてご覧ください:
・当日の様子:https://www.instagram.com/p/DaKokIwpeAt/
・保護者の声:https://www.instagram.com/p/DaNaeQnpVyY/
